人民新聞(1307号)の「言わせて聞いて」のコーナーにNEMOの投稿が『イラク反戦五周年によせて〜戦争を支える「貧困」につながる労働者の使い捨てをやめろ!〜』という表題で掲載されました。(以下本文)
イラク戦争開戦から5年が経過し、今日までに約4000人の貴いアメリカ軍兵士の命が奪われました。また、戦死者にはカウントされない、警備や輸送などの業務にあたる民間の要員も、襲撃や地雷などの犠牲となり、約1000人が死亡したという報道もあります。こうした犠牲者の多くは、前途ある若者たちによって占められています。しかし彼らは「戦争をするため」にイラクへ行ったのではありません。貧困から抜け出したい、あるいは大学へ進学する資金を獲得するために、国家と契約を結ばされたのです。
もし彼らが貧困に苦しんでいなければ、教育の機会が保証されていれば、「戦争に行く」という選択はしなかったでしょう。戦争とは正に「貧困が支えている」と言っても過言ではありません。企業や資本家が武器を売って金儲けをするために、労働者は搾取され、最も弱い立場にある若者たちが、戦地へと送り出されているのです。このことは、なにも外国に限った話ではありません。かつて「広島・長崎」に原爆を投下され、東京大空襲においても甚大な被害を受けたはずの日本でも、同様の状況が生み出されつつあります。
2003年、政府はイラク戦争に対して「支持」を表明し、2006年に撤収するまでの2年半に、のべ5500名の自衛隊員が「戦地」へと送り出されました。彼らの多くは、当時まだ20代の若者であり、バブル崩壊後の就職氷河期に学校を卒業した「氷河期世代」です。多くの企業が新卒の採用を手控える中で、自衛隊は「雇用の受け皿」として機能し、安定した雇用を求めて、数少ない選択肢の中から入隊を決めた若者たちが、戦地へと送り出されるその様は、アメリカと何ら変わりがありません。
政府は「戦死者は1人も出なかった」と公言しますが、イラク戦争以降、自衛官の自殺者数は急増し、2004年は94人、2005年も93人の自衛官が、自ら命を絶っています。この数字は、一般の国家公務員の2倍以上の水準であり、イラク戦争とも無関係ではないはずです。
近年、雇用は更に不安定化し、労働者の3人1人以上が非正規雇用と言われています。こうした状況下で戦争が起これば、真っ先に犠牲になるのは若者たちです。彼らが望むと望まざるとに関わりなく、生きていくためには戦争に行かなくてはなりません。そうした状況を作り出さないためにも、私たちは企業や資本家に対し、「労働者の使い捨てをやめろ!」と訴えていくべきではないでしょうか?
人民新聞は、こうした非正規雇用の問題や、各地でおこなわれている労働運動のミニコミ紙的な役割を果たしていますので、ご興味がお有りの方は、是非ご一読いただければと思います。
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